授業のUD

授業のユニバーサルデザイン

米国のUDLは個人の認知の違いからスタートし「個から全体へ」の特別支援教育とのつながりの強いアプローチだと言えます。

それに対して、「授業をどのようにユニバーサルデザイン化するか」という観点からのアプローチがあります。

 

明星大学の小貫教授は、授業のUD化として、次の4階層を意識することを奨励しています。

 

授業のUD化の階層モデル

 下の図は「授業のUD化モデル」(小貫・桂、2014)です。三角形の図は「授業の階層性」で、最も土台となっているのは、子どもの「参加」です。授業は参加しないと始まりませんが、ただ参加するだけでなく、「理解」が何よりも重要です。さらに、理解したものが、確実に自分のものになっていかねばならないことから、「習得」「定着」の階層へと続きます。

 三角形の図の左側は、発達障害のある児童生徒の「授業でのバリアを生じさせる発達障害のある子の特徴」です。右側は、左側の特徴を授業内でカバーするための視点です。これらの各支店は、下部に置かれたものであればあるほど、上部の視点を支える要素となります。

 

授業のユニバーサルデザイン研究会階層.png

 

 

「参加」階層


(1)クラス内の理解促進

発達障害のある子がクラスに参加できるような、弱さをサポートする雰囲気が作れているかがチェックポイントである。

(2)ルールの明確化

自閉症スペクトラムのある児童生徒は、暗黙の了解やルールの理解が極端に苦手である。質問の仕方、意見の伝え方、話し合いの仕方などにある程度のルールが設定されているほうが、授業に参加しやすくなることがある。

(3)刺激量の調整

ADHDの児童生徒は周囲の刺激に反応しがちであり、教室内の刺激などを極力減らす工夫をする。

(4)場の構造化

自閉症スペクトラムの児童生徒など特に、教室空間に一定の規則性(物品の定位置など)があれば、学習活動の効率化が上がる効果がある。

(5)時間の構造化

各授業ごとに活動の流れを書いたものを提示するなど、”学習活動の迷子”を出さない工夫などがあると良い。


「理解」階層


(1)焦点化

適切にフォーカスした授業の「ねらい」と的確にシンプルかした「活動」によって授業がごちゃごちゃしないようにする。

(2)展開の構造化

焦点化された「ねらい」と「活動」に合わせた「展開」は、論理的で明示的であると授業がわかりやすい。

(3)スモールステップ化

理解達成に向けたプロセスに細やかな段階を作ることで、どの子も目標に到達しやすくなる。

(4)視覚化

情報を「見える」ようにして情報伝達をスムーズにする。

(5)感覚の活用

発達障害のある児童生徒が感覚的にとらえたことを、認識に変えていける工夫を。

(6)共有化

ペア学習、グループ学習など、子ども同士の相互のやりとりによってより深い理解に到達できる。


「習得・活用」階層


(1)スパイラル化

教科教育の内容はスパイラル構造になっているためこうした教科の構造を利用して、前の段階で理解が十分でなかっことをもう一度丁寧に説明する機会とすることで、学んだことを本当に自分のものにする。

(2)適用化・機能化

基本事項を別の課題に「適用」してみたり、生活の中で「機能」させてみたりすることで、授業で学んだことが本当の学習の成果となっていく。

 

参照:

小貫悟・桂聖(2014)『授業のユニバーサルデザイン入門ーどの子も楽しく「わかる・できる」授業のつくり方』東洋館出版社.

 

小貫悟(2016)「どの子も学び安い授業作りのために」『通常学級のユニバーサルデザインと合理的配慮』金子書房, p.34-39.

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